ペプチドリーム(4587)

20170509-pep


連休中に急落したペプチドリーム。最近さぼりつくしていたブログ更新ですがたまにはしっかりした記事を書こうと思って書きました。よい契機になったので急落したペプチの個別銘柄紹介のようなエントリーです。

最初に断っておきますが僕は専門家ではなく投資家なので、専門的には間違ったこともいっぱい書いています。わかりやすいようにあえて書いている部分もありますが、素で間違ってることもいっぱいあります。はっきりいって間違いだらけです。なので本当に勉強熱心な人はここに書いてあることをうのみにせず自分で調べてください。わけのわからんキュレーションサイトと思われるのは嫌なので個人投資家のたわごとみたいに思ってください。偏見、バイアス、思い込みと、単純化。これが僕の文章の特徴です。


ペプチドリームはプラットフォームビジネス


日本のバイオベンチャー株のなかで現在最も評価されている会社がペプチドリームです。時価総額3000億~4000億。ペプチドリームは以下の3つ(+1つ)の点で他の日本のバイオと比べるとビジネスモデルに明らかな優位性があります

  1. ニッチな分野における創薬プラットフォームビジネス(PDPS)を手掛ける
  2. プラットフォームを提供し、研究治験は相手まかせ。治験の不安定さが排除され安定してマイルストン等の収益をあげられる。
  3. PDPSを採用した企業はメガファーマ。アムジェン、メルク、ノバルティス、ブリストル、にはじまり、イーライリリー、グラクソ、サノフィなど世界の主要製薬の大半取引がある。
  4. 日本の戦略特区指定の会社であり東大ベンチャーであり川崎の経済特区(キングスカイフロント)に拠点を構える


ペプチドリームはほとんどの研究は相手に任せています。ペプチドリームの商品はPDPSという名前がついており、これは試験管の中に数兆種類の特殊なペプチドを作成し、それを検索するシステムを提供するものです。

一般的に言って薬というものは1「小さな分子=低分子化合物」、2「大きな分子=抗体薬」という住みわけがありました。

=低分子化合物は物質が小さいので、一度特定してしまえば、大量生産に向きます。また口から飲んでも胃腸から吸収できたりできて経口薬が作りやすいわけです。反面、血液から体中に運ばれますから反応してほしくない部分が反応して副作用が出たりします。低分子化合物は直接反応を引き出す薬そのものでもあります。

=抗体薬は低分子よりもはるかに大きな分子数で複雑な構造をしており、疾患ターゲットにしっかり反応するように構造が作られます。抗体は薬である部分と、選択性を強いる部分に分かれており、特定のターゲットにのみ薬を運ぶ複雑な構造体にすることで選択性を高めていることが可能ということが最も大事なポイントです

ペプチドリームの特殊環状ペプチド。上記1でも2でもない中間くらいの分子量の「鎖状ペプチド」というものを「作成、検索」できるプラットフォームを売っています。1「低分子化合物」でも2「抗体」でもない中分子という創薬領域はいままで注目されておらず、このニッチな分野でこれをやっている企業は少なかったわけです。今から独自に大手がそのための研究を一から積み上げるのは労力とお金がかかるため、大手製薬がこのシステムの使用権をこぞって買っているわけです。

このシステムPDPSから得られた薬候補は、治験が成功するたびにマイルストン=一時収入、薬になればロイヤリティ(売り上げの数%)が入ってくる仕組みであって、契約が増えるほどパイプライン=薬の候補が増えていくストック型のビジネスモデルであるという部分が注目です。

研究は導出先がお金をかけて研究します。ペプチドリームはシステムを提供しているだけなので研究費がかかりません。おいしい部分だけをもらっていく非常に合理的な仕組みです。大手が取り組んでいないところに目をつけて相手の土壌に必要な足場を提供しているわけです。

また、最も治験が進んでいた(唯一臨床治験に入っていた)物質が、ブリストルマイヤーズとのPDL-1関連(がん免疫チェックポイント阻害薬)であるという事が直近の株価の評価につながっています。オプジーボは単剤で1兆円規模を目指せるメガブロックバスターであり、ブリストル(&小野薬品)の画期的な薬ですが、ペプチドリームの導出したPDL1はそれの次世代を担うのではないかと期待されていました。創薬企業を財務で語るのは難しいですが、この株のPERの高さはこの薬が上市する期待値によって評価されており、成功すれば数百億~千億の利益が想像できるわけです。一方かかるコストはPDPSを洗練する基礎研究であって、コスト体質は非常に良い。

僕はPDの株価は期待と比べると高いとは思いません。オプジーボの後継となりそうな薬一つでも成功するならこの時価総額では安すぎます。失敗する可能性もありますから今くらいの株価だという事です。(蓋然性=期待値)

どちらにせよ中分子創薬のデファクト・スタンダード、メインストリームになるのであればすごい可能性があるわけで、そうなるためにはまず上市するものが出てくるかどうかがポイントです。最近では金額を開示できるくらいの大型契約(ヤンセンファーマなど)を開示できるようになってきました。ニッチな部分を埋め、半独占化を進めていてビジネスモデルの優秀さでは群を抜いているように思えます

多少ネガティブな部分を言及するならば、低分子化合物も抗体薬も時代とともに進化していますので、これが無用の技術になる可能性は常に付きまとっています。





株価の急落した背景とこれからの戦略(というか妄想)


さてペプチドリーム株は連休の真っただ中、5/1日の寄付きから突然大量に売られ急落しました。成り売り20万株、断続的によりついてから20分の間に100万株以上落ちてきたようです。6700円の株価は一時5500円ほどまで値下がりしました。僕はお仕事中にスマホをみて、(ペプチは監視銘柄の一つ)何事かとビビってましたが、2chやYahoo!、Twitterの情報をチェックしてなるほどと納得。
上記PDlー1の治験がブリストルマイヤーズの4/27日のカンファレンスにおいて同社の説明、更新したパイプラインから消えているという事でした。(僕は小野薬品を保有していますから、チェックしていないのは怠慢ですが)それにしても本気で投資している人たちの情報は早い。


・・・僕はペプチ株を持っていないのですが、もし売買するならどういう戦略を立てるのか、すこしシミュレートしてみたいと思います。

まず今回の件について。ペプチ社からは何もIRが出ていません。契約上、何も話せないのだろうと思います。そしてペプチドリームはあくまでPDPSの会社であってプラットフォームを提供しているだけです。作用機序であるとか研究そのものには踏み込んでいないと思っています。

3/31日にブリストルマイヤーズはPDPSより5つめのリード物質を導出しています
米国BMS社5つ目のリードペプチド獲得のお知らせ(ペプチ社IR)

治験は成功してるのか?失敗してるのか?この部分だけに拘ると判断を間違えそうです。つまり治験が上手くいっていなくとも研究は続いているのは間違いなく、最悪のパタンとしてもより良い物質が見つかったのでやり直すといったたぐいのものでありそうです。先に導出した物質では満足いく結果は出ていないけれども、次の候補がまだあるというようにも見え、PDL-1が完全に失敗しているという可能性は低いと思いました。

新たな情報を待つ必要がありますが、仮に最初の抗PDL-1薬候補が失敗したことが明らかになったとしたら、その急落局面こそ買い場になるのではないでしょうか。

逆に成功していた場合は、なぜブリストルがこのラインを非開示になったのかわかりませんが、ものすごく株価は上がると思います。免疫チェックポイント阻害薬は世界で一番売れることがわかっている薬です。

ブリストルは10兆円規模のメガファーマですが、いくつか買収のうわさが出ています。最も買収したがっている企業はお金があまってあまってしょうがない金持ち企業のファイザーでしょう。ファイザーはメルクとPDL1薬を開発していますが、小野ブリストルの保有する本庶特許を搔い潜れるか際どいところです。買収するという判断が出ていてもおかしくないです。僕は、PDL1が成功しているにもかかわらず非開示になったのであれば、大人の事情があるのではと想像しています(信用度0.2%程度の妄想)。


PDL1関連に限らずペプチドリームは2015~2017年あたりにアライアンスを組んだ超大手が多いです。これらのパイプラインが顕在化するのは2020年以降だと思いますが、そのころ今の値段で買えるでしょうか。そういった視点でも考えたいところです。




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